special product
2026.05.28

沖縄県産種にこだわった「PUANA」の海ぶどうの特徴

海外産が多く出回る中、沖縄原産種にこだわった海ぶどう

沖縄の海の食材として知られる海ぶどうですが、現在市場に出回っているものの多くは、インドネシアやタイ、ベトナムなどから輸入された海外産の種を国内で育てたものです。その中で、伊平屋島で養殖される「PUANA(プアナ)」の海ぶどうは、沖縄に古くから伝わる伝統的な種を引き継いだ、純粋な沖縄県産の商品です。

生産者の許田さんによれば、「沖縄の種から作った海ぶどうは、沖縄県どこを探してもおそらくここだけ」という希少なものです。その最大の特徴は、粒の詰まり具合にあります。一粒一粒がしっかりと詰まっており、口の中でプチプチと弾けるような強い食感を楽しむことができます。

また、栄養面でも優れた特性を持っています。海ぶどうには約44種類の栄養素が含まれていると言われており、鉄分が豊富で便秘解消などの効果も期待できます。1パックあたりのカロリーは約4キロカロリーと非常に低く、健康意識の高い層や女性からも注目されています。味の面ではキャビアに近い風味があるとされ、近年では海外からの関心も高まっています。

許田さんおすすめの食べ方は、刺身のように食べるだけでなく、みじん切りにして卵焼きに混ぜる「出し巻き卵」です。「海ぶどう自体に塩分があるため、調味料を足す必要もなく、自然なおいしさに仕上がりになる」といいます。

伊平屋島の環境が育む品質

「PUANA」の海ぶどうが高い品質を維持できる背景には、沖縄本島から離れた離島・伊平屋島の極めて透明度の高い海と、その自然環境を活かした養殖技術があります。

海ぶどうの品質は、季節や環境に大きく左右されます。

「夏だと気温が高く伸びが早い分、粒がつきにくく茎しか伸びないということも多くあります。しかし、冬の場合は逆にゆっくりゆっくり育っていくので、成長は遅いですが、粒がしっかりついて、最終的に出来上がった状態や見た目が綺麗なのが冬です」。

海ぶどうの粒は植物の「葉」にあたる部分であり、光を浴びることで鮮やかな緑色に変化します。そのため、養殖場ではエアレーション(海水に空気を送り込む装置)を用いて海水を循環させ、すべての粒に均等に光が当たるよう細かな調整が行われています。伊平屋島の綺麗な海水と、太陽光のコントロールが、この美しい緑色と食感を生み出しています。

伊平屋島の素晴らしい環境を生かすため、様々な試行錯誤の上でこの海ぶどうを世に出した想いを語る許田さん

生産者の想いと、直面した困難の克服

「PUANA」の代表である許田さんは、もともと造園業を営んでいました。伊平屋島との出会いは、約5年前の仕事がきっかけでした。

「5年ほど前、父の造園仕事で伊平屋島念頭平松周辺作業での仕事依頼があり、手伝いで一緒に行った際、島の自然、海の綺麗さにとても感動したのを覚えています。色々と話を聞いたところ、モズクやアーサの養殖は行っている生産者が結構多かったのですが、海ぶどうはまだやっていないという話を聞いて、やってみようかなと思いました」。

しかし、養殖への転身は平坦な道ではありませんでした。最初に候補地として紹介された場所は、廃墟同然の状態だったといいます。

「養殖場予定地の跡地があるという話を聞いたので見に行ったところ、入り口がどこか分からないくらいゴミの山でした。土地を管理している方が、養殖場を再建してくれるのであれば、ぜひ利用してほしいですし、応援しますという心強いお話をいただいたので、海ぶどう養殖をやろうと決意しました」。

そこから約1年をかけて自分たちの手で土地を清掃し、建物を補修しました。さらに、沖縄本島で半年以上の修行を積んだものの、伊平屋島での養殖には本島の知識がそのまま通用しないという壁にぶつかりました。

「海ぶどうは海水で育つのですが、海水の温度が三十度をちょっと超えると、すぐにドロドロになって溶けてしまうくらい管理が難しいです。水温だけでなく、光の調整も関係してきます。また、養殖を行なっている沖縄本島各地の場所によってもやり方が違うという話を聞いて、あちこち海ぶどうの生産者さんのところへ行って、やり方を聞きに行ったんですけど、全然やり方が違うので大変でした」。

海ぶどうは「生き物」であり、日照条件や水温の変化に極めて敏感です。

「海ぶどうに餌を与えて、太陽の光で光合成をさせ、暗い時間帯になると伸びていきます。太陽の光が強い時はカーテンを閉めて、雨が降ったり曇ったりしている時だとカーテンを開けるなど、毎日見てないといけないのが大変ですね」。

茎ばかりが伸びて粒がつかないといった失敗を繰り返しながらも、許田さんはすべてのプロセスを記録し、分析を続けました。

「良い海ぶどうが出来上がった時はどうして上手く出来たのか、全部メモを取り、やり方を追求しています。日々ずっと勉強、勉強と思いながらやっています」。

こうした1年数ヶ月に及ぶ試行錯誤を経て、ようやく安定した生産体制を築き上げました。

日々、水温や水の循環具合や太陽光の量を調節しながら高品質の海ぶどうを養殖している

伊平屋村への貢献と持続可能な産業への展望

許田さんの挑戦は、単なる個人の事業に留まらず、伊平屋村の地域経済や観光に新しい風を吹き込もうとしています。

まず、産業としての持続可能性です。海ぶどう養殖は、状態が良くない個体であっても廃棄せず、次の「種」として再利用することができます。

「出来が良くないからといって廃棄するわけではなく、商品にならなくても、基本的にはまた一から種として使えるので、ずっと繰り返し栽培できるのが海ぶどうのいいところですね」。

一度の栽培で種が3倍以上に増えるこの循環型システムは、離島における安定的な一次産業としての可能性を示しています。

また、新たな観光コンテンツとしての活用も始まっています。許田さんは、養殖場を訪れた人々が楽しめる「海ぶどうすくい」という体験プログラムを企画しました。

「”海ぶどうをすくう”という、新しい体験をすることができるので、伊平屋島に訪れた際にはぜひ試してみてください」。

金魚すくいのように子供から大人まで楽しめるこの体験は、伊平屋島を訪れる観光客への新しいアピールポイントとなり、地域の活性化に寄与することが期待されています。

ブランド名の「PUANA(プアナ)」は、ハワイ語で「美しい花」や「花咲く」を意味します。かつて誰も手がけていなかった伊平屋島での海ぶどう養殖。許田さんの情熱によって生まれたこの新しい特産品は、島の豊かな自然を守りながら、伊平屋村の未来を支える一翼を担おうとしています。

自信を持って育てた、伊平屋島の沖縄原産種の海ぶどう

伊平屋島が育む「太もずく」の魅力~ぬめりと弾力が生み出す独自の食感~
伊平屋の旨みが詰まった「てるしの牛カレー」―お肉の満足感を食卓へ